金歯を利用するメリット・デメリット
歯の治療で詰め物や被せ物を選ぶとき、金歯という選択肢があることをご存知でしょうか。見た目で敬遠されがちな金歯ですが、実は多くのメリットを持つ優れた治療法です。歯科医師が自身の治療で選ぶことも多い金歯について、詳しく解説していきます。
目次
金歯のメリット
歯科治療の材料として、金は古くから使われてきた実績のある素材です。見た目の派手さから敬遠されがちですが、実は素材としての性能は抜群で、他の治療法にはない独自の特長を数多く備えています。金歯ならではの優れた点をご紹介します。
優れた耐久性
金歯は20年から30年と長期にわたって使用できる素材です。場合によっては40年以上使い続けることも可能です。これは銀歯の平均的な寿命である5~10年と比べると、はるかに長い期間となります。このように長持ちする理由は、金という素材自体が持つ強度の高さに加え、口内環境との相性の良さによるものです。
適応性が高い
金歯は、使えば使うほど歯に馴染んでいく特徴があります。これは金が持つ柔軟性によるもので、噛み合わせが徐々に調整されていきます。また、歯との密着性も高く、隙間からバイ菌が入り込むことが少ないため、虫歯の再発を防ぐことができます。さらに、表面がツルツルしているため、歯垢も付きにくい特徴があります。
体に優しい素材
金は人体に対して最も安全な金属の一つです。金歯は75%から84%の金を含む合金でできており、金属アレルギーを引き起こす可能性が極めて低くなっています。また、歯茎を刺激することも少なく、アレルギー性の炎症を起こすリスクも低いため、長期的な使用でも安心です。
磨耗が少ない
金歯は天然の歯と同じような硬さを持っているため、対合歯(噛み合う歯)を傷めることがありません。年月とともに自然な磨耗が進みますが、これは天然の歯と同じペースで進むため、噛み合わせのバランスが崩れることはありません。また、薄く加工できるため、歯を必要以上に削る必要がありません。
腐食しにくい
金は化学的に安定した素材のため、口内環境での腐食や変色がほとんどありません。銀歯のように酸化して金属イオンが流れ出すこともないため、歯や歯茎が変色する心配もありません。また、食べ物の温度変化による膨張や収縮も歯と同じ程度のため、亀裂や破損が起こりにくいという特徴もあります。
金歯のデメリット
金歯には優れた特徴がたくさんありますが、実際の治療を選ぶ際には気になる点もいくつかあります。見た目や費用面での懸念から、治療をためらう方も少なくありません。ここからは、金歯を選ぶ際に知っておきたいデメリットについて詳しく解説していきます。
見た目の問題
金色特有の輝きは、特に前歯など人目につきやすい場所での使用をためらう原因になります。歯の色とは大きく異なるため、笑顔や会話の際に気になってしまいます。特に若い方や女性の場合は、見た目を重視する傾向が強く、審美面での抵抗を感じやすいようです。
高コスト
金歯は保険適用外の治療のため、費用面での負担が大きくなります。一般的な銀歯が3,000円から4,000円程度なのに対し、金歯は12万円から15万円ほどかかります。この初期費用の高さが、治療を選択する際の大きなハードルとなっています。
重量感を感じる場合がある
金歯を装着した直後は、独特の重量感を感じることがあります。これは金属特有の重さによるもので、特に大きな被せ物の場合は違和感として感じやすくなります。また、熱い飲み物や冷たい食べ物を摂取した際に、金属の熱伝導率の高さから一時的な不快感を覚えることもあります。
加工に時間がかかる
金歯の製作には高度な技術と時間が必要です。金属の精密な加工や調整に時間がかかるため、治療完了までに複数回の通院が必要になることがあります。また、歯型を取ってから金歯が出来上がるまでの待ち時間も必要です。そのため、急いで治療を終わらせたい方には不向きな場合があります。
金歯はどんな人に向いている?
金歯は他の歯科材料と比べて数多くの利点を持っています。実際に長年使用している方からは高い満足度が得られており、特に奥歯の治療では多くの歯科医師が推奨しています。症状や生活習慣によっては金歯が最適な選択となる可能性もあります。
耐久性を重視したい方
詰め物や被せ物を長期間使い続けたい方には、金歯がおすすめです。金歯は20年以上使用できることも珍しくありません。通常の銀歯の寿命が5~10年程度といわれているのに比べ、格段に長持ちします。しっかりとしたケアを続けることで、一生使い続けることも可能です。
噛む力が強い方
歯ぎしりの習慣がある方や、硬いものを頻繁に噛む方にも金歯は向いています。金歯は歯と同程度の硬さを持ち、噛み合わせる歯を傷めにくいという特徴があります。また使用していくうちに噛み合わせが自然と調整されていくので、違和感なく使い続けることができます。
金属アレルギーを避けたい方
金は人体に対する親和性が高く、アレルギー反応を引き起こすリスクが極めて低い素材です。銀歯などの他の金属製の詰め物では金属アレルギーの心配がありますが、金歯ならその心配はほとんどありません。体質に敏感な方でも、安心して使うことができます。
健康を第一に考えたい方
金歯は口腔内の健康維持に役立ちます。表面がなめらかで歯垢が付きにくく、歯茎の炎症も起こりにくいため、歯周病の予防にもつながります。また歯との密着性が高いため、すき間から虫歯になるリスクも低くなります。お口の健康を大切にしたい方におすすめの選択肢です。
まとめ
金歯は見た目や費用面でデメリットがあるものの、耐久性や体への安全性など、数多くの利点を持つ治療法です。ご自身に最適な治療法を選ぶためには、専門家との相談が欠かせません。金歯に興味をお持ちの方は、ぜひかかりつけの歯科医院で相談してみてはいかがでしょうか。